オルガ、オリヴィアエンド
※ネタバレあり
新たにオルガさん、オリヴィアちゃんの個別エンドを見る
傷や病を癒す奇跡の力を失ってしまったオルガさん…
その力のせいで聖女だ何だと祭り上げられ、多少なりとも疎ましく思っていたために、力が消失したことに喜びを覚える彼女だったが…
ロゼッタちゃんの帝都から帰還して数日後、謎の奇病が黒の塔内で蔓延し、次々と倒れていく仲間たちを、神の奇跡から見放されてしまったオルガさんは、為す術なく見守るしかない…
やがて、どうにかして皆を救おうと奔走していた主人公とオルガさんの身にも、発病の兆候が見られて…
という、平穏で愛しい日々がじわじわ蝕まれていく恐怖に震えるオルガルートと
かつて央国に滅ぼされたナイル王国の生き残り…しかも、王家の娘であったオリヴィアちゃん
侵略戦争を仕掛けてきた現皇帝への復讐だけを胸に抱いて今日まで生きてきたオリヴィアちゃんは、主人公の命を狙って侵入した黒の塔で、皇帝の娘であるフィアンナさまと知り合い、戦争の真実を知る
王冠剣と呼ばれるナイルの国宝を王妃が欲したがために、ただそれだけの理由で彼女の祖国は戦火に焼かれたのだ…
オリヴィアちゃんの復讐心は彼女にすら制御できないほどに燃え上がり、フィアンナさまを目の前で父を殺された自分と同じ境遇へ落としてやろうと考えるようになって…
という、他のヒロインルートでは見られない血なまぐささに満ちたオリヴィアルートと
こうしてあらすじを一見しただけでは、共通点がないように思えてくるんだけど、実際には違うんだよね
彼女たちの魂を真に救ったもの…それは主人公の力だけじゃない、黒の塔での出会いの全てが、闇に沈みかけていた彼女たちの魂に光をもたらしたんだよね
そう考えると、ここでみんなと暮らした日々は、アリアちゃんとカヤちゃんだけじゃなく、他のヒロインたちの未来にも少なくない影響を及ぼしていたんだなぁ…なんだかしみじみするなぁ…
聖女とは心の有り方、その人の生き方そのものを表す称号なのだろうね
確かにオルガさんはその身に神の御業を宿していたからこそ、法王庁から正式に聖女として認定されることになったわけだけど、そんなものはただの肩書きでしかないわけで
オルガさんを本当の意味で聖女たらしめていたのは、心の清らかさだとか、己を犠牲にしてでも皆を救いたいと願う慈愛の精神だとか、そういうものなんだな
…もしも、オルガさんの世界が主人公と二人きりの閉じたものであったなら、最後に女の喜びを知った彼女は、何も思い残すことなく永遠に覚めることのない眠りを受け入れたんだろう
でも、オルガさんには守りたいものがあったから、彼女の世界は黒の塔の中でどこまでも広がっていったから、だからもう一度だけ、奇跡を起こすことができたんだ
数々の愛すべき出会いがあったからこそ、辿り着けたハッピーエンドだったんだね
オリヴィアちゃんに関しては、もう少し狭い世界だけれど…それでもフィアンナさまとの交流が彼女にもたらしたものは、多大なものがあると思う
というか…フィアンナさまはすごい…
いつもふんわり微笑んでばかりいて、芸術のことしか頭になく、世間のことなんて何も知らない箱入りお嬢さまという印象を与えかねない振る舞いばかりなのに、国母の中に巣食う飽くなき物欲を敏感に感じ取って、単に否定したり蔑むのではなく、自分は絶対にそういう風にはならないと生き方の指針にしていたし、実際に手を下したのはオリヴィアちゃんではないとはいえ、結果的に皇帝が命を落とすこととなった騒ぎに加担した彼女の罪には触れることなく、逆に「もう報いは受けたのだから、両親のことを許してほしい」と頭を下げたり…
ものすごく現実に即した考え方ができている、とんでもない才媛よね…
しかも、その高い能力の片鱗は、普段の主人公とのやり取りから存分に発揮されているという…
いやはや、恐ろしい娘ですわ…
…って、オリヴィアルートの感想なのに、フィアンナさまの話ばかりになってしまったな
生まれて初めて攻略したエロゲーヒロインへの思い入れだけだけじゃなくて、確かな魅力を彼女が備えているということの証左だろうな…
復讐という大きな目標を失ってしまったオリヴィアちゃんが、再びナイル王国再建という道しるべを示せたのも、彼女の支えになると誓った主人公と同様か、それ以上に、そうしたフィアンナさまの魅力によるところが大きいと思う
フィアンナさまが統べる国なら、きっと悪いようにはならない…そう思えたからこそ、オリヴィアちゃんも王族として立つことを決めたんじゃないかしらね
黒の塔で過ごした時間は、プレイヤーにとってもかけがえのない大切なものだから、こんな風に目に見える形でヒロインたちの選択に多大な貢献をしていることがわかると、嬉しくなっちゃうなぁ
マジでよくできたゲームだよ、これは