甲児くんとカイザーさんの365日
2/10『限定スイーツ』
今日は出先から直帰していいというから、定時で帰れる日よりも早くお家に着きそう、と連絡すると、カイザーさんはとっても喜んでいた
カイザーさんが嬉しいと自分も嬉しくなる甲児くん、ふと思い立ち、せっかくだからいつも行列ができてて気になってた駅前のスイーツ屋さんで、甘いものでも買って帰ろうと思った
列に並びながら、カイザーさんとぽちぽちスマホでやり取りしていたんだけど、昨日は充電せずに寝ちゃったせいで途中でバッテリー切れになってしまった
お土産があることはサプライズにしようと伝えてなかったものの、特に気にせず、それからもまあまあ待って、ようやく冬季限定の見た目もかわいい限定スイーツを無事ゲット
だいぶ遅くなっちゃったけど、早く喜ぶ顔が見たいな~とウキウキしながら家路を辿り、アパートの駐輪場が見えてきたところで、敷地内から飛び出してきたカイザーさんと鉢合わせた
(買い忘れたものでもあったのか? 言ってくれれば、ついでに買って帰ったのに…)と思い、そういやスマホの充電切れてたな…と思い出しながら、そんなに急いでどうしたのか聞こうとした矢先、どかーんと体当たりしてきたカイザーさんに危うくバイクごと引っ繰り返りそうになって、なんとか踏ん張った
そのまましがみついてわんわん泣き出すカイザーさんと、わけがわからず困惑する甲児くん
とりあえず部屋に連れ帰って話を聞いてみたら、早く帰ってくるって言ってたのに何時になっても帰ってこないし、何通もメッセージ送ったのに既読にもならないしで、事故か事件に巻き込まれたんじゃないかと不安で不安で、居ても立っても居られず探しに行こうとしたタイミングで甲児くんが帰宅した…ということらしい
まさかそんなことになってるとは夢にも思わなかったもので、有名スイーツなんかよりも俺が早く帰ってくる方が何倍も嬉しかったんだって気付いてやれなくてごめん、とカイザーさんが泣き止むまで甲児くんはひたすら平謝りした
まだちょっとぐすぐす言ってたけど立ち直ったカイザーさんが、わたしのために並んでまで買ってくれたのに取り乱しちゃって…甲児くんのこと悪者にしたみたいでわたしこそごめんね、と謝ってきたので、力いっぱい抱き締めた
二種類あったスイーツは、食後にそれぞれ半分こして一緒に食べた
今日は平熱が37.5℃のポカポカ系男子甲児くん×クーデレ雪ん子カイザーさんの簡易妄想
氷のようにクールだけど、甲児くんのことが大好きでデレデレなあの子は、クーデレちゃんなのだ!
・ほのぼのネタ
「カイザーは冷やっこくて気持ちいいな~」
「むふふ(ご満悦)」
ぺたぺた
ぺたぺた
ぺたぺた
「あ…」
「ん?」
「ちょっと溶けてきちゃった」
「どえええええ! すすすすまねぇ大丈夫か!?」
「大丈夫、表面だけだから。すぐ固まる」
そんなこんなで、二人はおちおち手も繋げないのである
だけど好きな人には触りたくなるもので、溶けそうで溶けない限界点を文字通り手探りしたい甲児くんと、甲児くんのおててがしもやけになっちゃうと大変なので回避しまくるカイザーさん
妥協案として、互いに手袋すれば繋げないこともないけど、二人して(なんか違う…)となる
・下ネタ
何やら真剣に漫画を読んでるカイザーさんが、ふと顔を上げて「ねえ、せーえきって熱いの?」と聞いてきたので、甲児くんは飲んでたサイダーを全部噴き出した
(常夏男子の甲児くんは、気温が0℃を下回っても平気で冷たいジュースが飲める)
急に何を…と戸惑う甲児くんに、カイザーさんが「この漫画にそう書いてある」と見せてくれたのはエロ漫画だった…
女の子でもこういうの読むのか…とドキドキしつつ、まあ体内から出てくるもんだし…体温ぐらいの熱さはあるんじゃねーか、とぶっきらぼうに答えてると、またしても「そうなんだ…じゃあかけられたら、わたし溶けちゃうね」と爆弾発言を投下してきたので、かける!?かけるってナニ!?!?!?と甲児くんはテンパった
雪ん子の核は身体の中心部にあり、核に近付くほど温度が下がる
格があるのはちょうどこの辺、とカイザーさんが教えてくれたのは、おへその辺りだった
へー、と感心してる甲児くんに、カイザーさんは真顔で「だからわたしとエッチするのって、氷の中に突っ込むようなものなんだよ」と言いやがった
いきなりすぎて「ふ、ふーん…」とか「お、おう…」としか反応できない甲児くんに、カイザーさんがしょんぼりしながら「できないね、エッチ」と言うので、できないか…??とガチで考え始める甲児くんだったが、続いて言われた「大事なところが凍傷にかかってもげちゃうかも」という予想に、ヒエッ…となって思わず股間を押さえた
でも…それでも…
「…お前と一つになれるんなら、もげたっていい!」と決意を込めて伝えると、ふるふる首を横に振ったカイザーさんに「ダメ、もげちゃったら一回しかしてもらえないでしょ」と言われたので、甲児くんは真っ赤になりながら、どうにかしてもげない方法を考案しようと脳をフル回転させるのだった
・シリアスネタ
雪ん子カイザーさんがこっちの世界にいられるのは、真冬の間だけ
それ以外の季節は、雪ん子の国に帰るらしい
だから、甲児くんと一緒にいられる時間はとても短い
「もし暖かい季節が来たら、わたし以外の人を好きになっていいからね」とカイザーさんは言う
そして
「春の陽射しで溶けちゃう前に、甲児くんの体温でわたしを溶かして。ぎゅーって抱き締めて、わたしのこと消えてなくなるまで溶かしてほしい。そうしたら、春が来て、夏になっても、ずっと甲児くんの傍にいられる気がする」とも言う
カイザーさん以外の誰かを好きになるなんて考えられない甲児くんは、この冬が終わるまでにカイザーさんと一緒にいられる方法を何としてでも見つけ出す、と決心するのだった
こうして一冬のラブロマンスと、ちょっとした不思議に彩られた冒険が始まるわけだが…
エクソシスト甲児くん×魔女っ子カイザーさんばりに、育てていきたい概念ではある
ところで…
クーデレってこうですか!?
わかりません!!!