甲児くんとカイザーさんの365日
2/23『好き比べ』
甲児くんの言うことは何でも肯定しちゃう(皇帝だけに)カイザーさんだけど、たった一つ、どうしても譲れないことがある
いわく「甲児くんがわたしを好きな気持ちより、わたしが甲児くんを好きな気持ちの方が大きい」とのこと
そんなこと言われると甲児くんもムキになって「俺の方がもっとずっとお前のこと好きだ!」と反論するけど、絶対に首を縦には振ってくれない
根負けした甲児くんが「同じくらい好きってことで」と妥協するも、やっぱりぶんぶん首を横に振る
そんなところだけ頑なな嫁さんも愛おしい甲児くんだったけど、カイザーさんがぽつりと呟いた「甲児くんはわたしがどれだけ甲児くんのこと好きか知らないから、そういうこと言えちゃうんだよ」を聞いて、俺だってこれ以上ないほど大好きなつもりでいたけど、もしかして俺にもまだまだカイザーのこと好きになれる余地が残されてるんだろうか…と世紀の大発見をした気分になって、その日は一日中浮かれていた
去年からずっと書く書く言いながら書く暇がなくてほったらかしにされていた、甲児くんと擬人化カイザーちゃんの学パロ妄想についに着手することにしたよ!!!
イヤンな人は光速でUターンすることをオススメするよ!!!
甲児くん
高校一年生
バイク通学OKで家から一番近い(といっても、結構離れてるけど)から、という理由で進学先を選んだ
お勉強はあんまりだけど、運動神経は抜群にいい
面倒見が良くて頼りになるからと、男女問わず友人は多い
おじいちゃん(著名な研究者、何やってるかはあんまり知らない)と弟(小学生)との三人暮らし
パパとママも研究者(やっぱり何やってるかそんなに知らない)で普段は海外で暮らしており、お盆やお正月、兄弟の誕生日などイベントごとで年に数回は帰国する
そういうわけで、家のことは甲児くんが大体やってる
家事は一通り何でもできる、料理は好きだけど掃除は嫌いといった好き嫌いはある
「伝説」の噂ぐらいは聞いたことあるけど、学区外のことだし、自分には関係ないと思っていた
カイザーちゃん
高校一年生
お兄ちゃんたちの母校に通いたいという理由から、進学先を選んだ
お勉強はそこそこ、運動神経も悪くないはずだけど何もないところで転んだりもする
ほんわかした性格で誰からも好かれるものの、「伝説」の妹ということで男子からは敬遠されており、小学生の高学年以降まともに男の子とお話したことがない
訳あって両親とは離れて暮らしており、年の離れたお兄ちゃん二人との三人暮らし
お兄ちゃんズは大きくなってから生まれた妹を目に入れても痛くないほどかわいがっている、ぶっちゃけシスコン兄貴ども
カイザーちゃん自身にも甘やかされて育った自覚はあり、同い年の女の子たちよりできないことが多い自分を恥じてもいて、高校への進学をきっかけに兄離れしようと一念発起した
ちっこくてふわふわで小動物みたいな見た目だけど、怒るとお兄ちゃんたちより怖くて強いらしい…
お兄ちゃんその一
「伝説」の片割れ
持ち前の正義感を遺憾なく発揮して、一つ下の弟と一緒に生徒会会長・生徒会副会長として不良どもを片っ端から粛清し、荒れに荒れていた学び舎を平定した過去を持つ
嘘か真か、鉄パイプでぶん殴られた時にパイプの方がひん曲がったとか何とか…
そのことから、ついたあだ名は「くろがねの城」
とにかく妹がかわいくて、妹につく悪い虫は叩き潰す所存でいる
社会人になるにあたり、残業ごときで妹の傍にいられる時間が減るのは耐えられん…それなら起業して自分が社長になればええやん!と会社を立ち上げたつわもの
副社長の弟と一緒に、毎日定時退社するべく頑張っている
お兄ちゃんその二
「伝説」の片割れ
年子の兄とは仲が良く、幼い頃からその背中を見て育ってきたため、自然と兄と同じ考え方をするようになった
兄と共に学校を良くしようと立ち回った結果、ヤンキーの大量粛清という結果に繋がった
兄が修学旅行で留守にしている間、学校で飼っていたウサギさんたちが人質に取られる事件が発生したが、呼び出しに単身で応じただけでなく、全てのウサギさんを無傷で取り返した
そのことから、ついたあだ名は「偉大な勇者」
とにかく妹がかわいくて、妹に邪な感情を抱く輩は万死に値すると思っている
高校生になった妹のお弁当は、兄と二人、日替わりで作る約束となっている
甲児くんとカイザーちゃんの出会いは、入学式の日に遡る
式の前におトイレに行っておこうと思ったカイザーちゃん、ついていこうか、と心配そうなお友達に「一人で大丈夫」と断った…ら、見事に道に迷った
体育館の屋根は見えているのに、どうやったらそこまで行けるかわからずうろうろしているうちに時間だけが過ぎていき、気持ちばかり焦っていたら転んでしまった
一方、通学時間を読み違えて初日から遅刻してしまった甲児くん、クラスメイトとは式場で合流した方が早いな…と急いでいたら、どこからともなく泣き声が聞こえてきて、無視できずに周囲を探してみると、小さな女の子がうずくまって泣いているではないか!
新入生の妹か…??と思いつつ近付いたところ、膝をすりむいていたので、近くの水道があるところまで連れて行き、傷口を洗ったり、絆創膏を貼ったりと手当てする
ふにゃふにゃの笑顔でお礼を言う女の子の顔を改めて見てみると、今まで会ったことないくらいの美少女でどぎまぎしてしまい、慌てて視線を下げると彼女の制服が自分の着ているものと似たデザインなことにようやく気付いて、え…まさか新入生…同い年??となる
とりあえず式場まで一緒に向かうも、女の子があんまりかわいいので急に恥ずかしくなってしまい、ここまで来たら後は一人でも大丈夫だろ、と逃げ出してしまった
置いてけぼりにされたカイザーちゃんは、もっとちゃんとお礼したかったのに、と思いながらも、なかなか帰ってこないカイザーちゃんを探していた友達に掴まって、そのまま式に参加する
…その後、二人は同じクラスだったことが判明して、甲児くんはドキドキしちゃって無意識に避けがちになっちゃうし、カイザーちゃんもお礼をするチャンスと思いながら男の子に対する免疫がほとんどないのでうまく話しかけられないしで、微妙な距離感からスタートする
甲児くんはカイザーちゃんのことが気になっているものの、学区内に家があるという友人たちから「あの子だけはやめとけ」と忠告される
というのも、彼女にはとんでもなくシスコンな兄が二人いて、かつて「伝説」と呼ばれ畏怖されてきた彼らは、妹に近付こうとする男には容赦しないのだとか
何でも、妹にラブレターを渡したら「次からは履歴書を同封するように」と返信があったとか、妹を遊びに誘ったら兄もついてきて始終監視されたとか、家に遊びに行ったら圧迫面接されたとか、好きな娘はいじめたい年頃の級友が何人か行方不明になったとか、他にもいろいろ脅し文句を並べ立てられたが、半分くらいは嘘としか思えない内容だった
その手の噂はあんまり気にしていない甲児くんだったけど、肝心のカイザーちゃんからどうも怖がられているようで、あまり積極的に絡んでいくこともできず、しばらくは離れたところからこっそり見つめるだけだった
小さいけれど、どんなことにも一生懸命なカイザーちゃん、手が届かない黒板の上の方を椅子に上って背伸びしながら綺麗にしてる姿なんて守ってあげたいくらい健気で、どんどん好きになった
カイザーちゃんも甲児くんのことが気になりつつも、お兄ちゃんたちによって男の子から遠ざけられてきた過去のせいで、どんな風に話しかければいいかわからず、接触が持てずにいた
ある日、甲児くんと同じ中学校卒という女の子と友達になって、いろいろ話を聞くことができた
そこで初めて甲児くんがバイク通学をしていることを知ったカイザーちゃんは、お兄ちゃんたちからの「バイクに乗ってるようなやつは不良が多いんだから近付いちゃダメ」という教えを思い出す
もちろんめちゃくちゃ偏見の塊であることはカイザーちゃんにもわかっていたけど、学生時代にその手の連中に散々苦労させられてきたお兄ちゃんたちの言うことの重みも理解できるので、いい人っぽいけどほんとは悪い人なのかなぁ…と、ますます距離を置いてしまう
純粋なカイザーちゃんにとって、お兄ちゃんたちの言いつけを破るという発想はなかなかできないというのもある
でも、放課後のグラウンド脇で野球部のユニフォームを着た子たちと一緒になって、一人だけ制服姿の甲児くんがボール探しをしてる様子からは、やっぱりいい人なんじゃないかなぁ…という感想しか浮かばないし、そういう飾り気のない優しいところをますます好きになっちゃうカイザーちゃんだった
そして、好きになればなるほど、どう振る舞っていいかわからなくなって、結果的に距離が開いてしまう…
そんな二人が一年生の秋までにできた会話らしい会話は、お手洗い帰りのカイザーちゃんのポケットから落っこちたハンカチを、たまたま後ろを歩いていた甲児くんが拾ってあげた時に交わした「ハンカチ、落ちてたぜ」「あ、ありがとう…」だけだった
甲児くんは今がチャンスとなんとか会話を続けようとしたけど、カイザーちゃんが競歩かってぐらいのスピードで歩いて行っちゃったので、断念した…
そうこうしているうちに秋が過ぎ、冬休みも終わって、いよいよ三学期
寒さが本格的になってきた頃、体温高めな甲児くんと寒がりなカイザーちゃんとの間に、あの運命的な出来事が起こるわけだ
詳しくは、去年の12/1のブログを見てね!!!(露骨)