お嬢さま至上主義

とあるポンコツギャルゲーマーの日常です

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甲児くんとカイザーさんの365日

3/11『元気出して』

 

何やら仕事上しょうもないミスをやらかしてしまったらしく、明らかに意気消沈してる甲児くん…

心配かけまいとカイザーさんの前では当社比三割増しで明るく振る舞ってるけど、空元気だってわかりすぎるくらいわかる

どうにかして励ましたいカイザーさんは、甲児くんと付き合いが長いお兄ちゃんにこっそり相談したところ、『これで甲児くんも一発で元気なるで!』という必殺技を教わる

溜め息つきながら机にぐでーっと突っ伏してる甲児くんに、必殺の「大丈夫?お、おっぱい…揉む?」攻撃を仕掛けたカイザーさん

と、見る間に笑顔になった甲児くんが「揉む!あと吸う!」と飛びついてきたので、どうぞどうぞ何でも好きにしていいよ~、と頭を撫でてあげた

いつもと立場が逆転したみたいで、ちょっとだけ誇らしい気持ちになれた

後に甲児くんは、この時のカイザーさんを「最高にバブみを感じた、俺だけの聖母だった」と語っている

翌日めちゃくちゃ元気溌溂な甲児くんを見て、Zは妹がうまくやったことを知った

 

 

 

ポカポカ男子甲児くん×雪ん子カイザーさん妄想をぶちまけるターン

 

読んで字の如しですわ

何言ってんだこいつと思った方は、どうぞあちらの扉からお帰りになってくださいましですわ

 

カイザーさん人外(元々ロボなんだが??)パロディシリーズ第二弾として爆誕した、雪ん子妄想にちょこっと肉付けができたので、備忘録を残しておく

ちなみに第一弾はエクソシスト甲児くん×魔女っ娘カイザーさんである

第三弾も気が向けば作られると思われる

 

 

 

・甲児くん

 

平熱が37℃以上と高めなこと、小さい頃に雪ん子に会ったことがあるという点を除けば、極々平凡な男子高校生

雪ん子のことは信じているけど、その他のオカルト的な事象には特に興味がなく(まあ雪ん子も怪異や魑魅魍魎の類ではないし)、将来は趣味を活かしてバイク関係の仕事に就きたいなー、とか考えている

祖父、共働きの両親、年の離れた弟と一緒に、某豪雪地帯で暮らしている

 

甲児くんが雪ん子に出会ったのは、弟が生まれるずっと前

まだ小学生に上がる前のこと、その日も朝から大雪で、おまけに風も強かった

どうしても両親に会いたかった甲児くんは、おじいちゃんの目を盗んで家の外に出ると、何度か連れて行ってもらったことがある両親の職場に歩いていこうとした

…が、一寸先も見えない猛吹雪の中を歩いているうちに、次第に方向感覚がなくなっていき、あっという間に迷子の出来上がり

でも当の甲児くんに迷子になっている自覚はなく、吹き付ける雪で目も開けていられなくても、両親に会いたい一心で足を前に出すが、さすがに寒さと疲労で体力が奪われ、このままでは凍死しかねない…となった、その時

「こんなところでどうしたの?」と、優しい声が聞こえてきた

「おとうさんとおかあさんにあいにいくんだ」

「この先は山だよ、お父さんとお母さんは山にいるの?」

「ううん、おとうさんとおかあさんはだいがくのせんせいだから、だいがくにいる」

「大学?学校のこと?」

「うん」

「その大学の名前、わかる?」

「うん」

「…そこならわかるよ、連れていってあげる」

ちょっと冷たいけど我慢してね、と抱っこしてくれたその人は、確かに分厚いコート越しでもひんやりしていたけど、母親のような優しい声は心をあったかくしてくれた

「君の名前は何ていうの?」「かぶとこうじ」「こうじくんか、かっこいい名前だね」とか何とか話しながら、抱っこで運ばれていく

幸い、両親がいる大学までそう離れてはいなかったので、甲児くんは無事に送り届けられ、この大雪の中を小さい子どもが一人で歩いてきたということでちょっとした騒ぎになった

その晩から熱を出して寝込むことになった甲児くんが、付きっ切りで看病してくれてるおじいちゃんに助けてくれたお姉さんの話をすると、それは雪ん子かもしれない、おじいちゃんが子どもの頃は時々見かけたが最近はあまり聞かない、と語ってくれた

それ以来、甲児くんはいつかあの雪ん子のお姉さんにお礼を言いたいとずっと思っているけど、残念ながらお姉さんがどんな姿だったかは思い出せなかった

 

ある雪の朝、中学生になった甲児くんが学校に行こうと庭に停めてる自転車のところに行くと、何やら奇怪なシルエットが自転車の傍に蹲っている

ギョッとして固まってる甲児くんに気付いた、その何やらトゲトゲしいシルエットがこっちを向いた

雪の結晶みたいに全身キラキラしてて、キレイだな…と思ったのが、第一印象

と同時に、人間じゃないってのも直感でわかって、思わず「てめー何もんだ!」と聞くと「わたし?わたしの名前はマジンカイザーっていうんだよ」と返ってきて、そっか、と納得しかけるも、いやそういうことが聞きたいんじゃなくて、と思い直す

が、先に「君の名前は何ていうの?」と聞き返されて「…兜甲児」と反射で答えたら「こうじくんか、かっこいい名前だね」とにっこりされて、なんだか懐かしい気持ちになった

???と思ってる間にも、謎の存在はのんびりと「この自転車、君の?かっこいいね、乗ってみたいな」とか言ってる

自転車…自転車…あっそうだ学校行かなきゃ遅刻する!

ようやく我に返った甲児くんが出した結論は、わけわからんものは放置してとりあえず学校に行くというもので、謎の存在を押しのけると自転車に跨り猛ダッシュした

その時に触った手には、手袋越しでもひんやりした感覚がしばらく残り続けて、これがまたどうしてだか懐かしく、何かを思い出しそうだった

授業中にもずっと懐かしさの正体について考えていた甲児くんは、ひょっとしてあれは雪ん子だったのではないだろうか…と思いついた

同じ雪ん子なら、命の恩人のお姉さんのことを知ってたかもしれないのに、遅刻してもいいから聞いておけばよかった…と後悔しつつ家に帰ると、推定雪ん子はまだ甲児くん家の庭にいた!

恐る恐る「な、何してんだ…?」と尋ねたら、甲児くんの自転車を指差して「そのかっこいいの、乗りたい、乗せて」とお願いされて、近所の公園まで二人乗りしていった

それが甲児くんとカイザーさんの、二度目の出会いだった

 

・雪ん子カイザーさん

 

雪ん子は雪の精

雪が降るような寒い季節にだけ、人間の世界にやってくることができる

雪女の眷属というわけではなく、雪を操ったり気温を下げるような能力はないけど、知能は高く、人間の言葉を理解するだけでなく喋ることもできる

だが、雪ん子の側から人間に接触することは、ほとんどない

理由は単純、雪ん子にとってメリットがないから

それでもカイザーさんのように興味本位から人間の世界に遊びに行く個体も、極稀にいる

雪ん子が人間と交渉を持つためには、核を中心に雪を集めて器となる体を作る必要がある

核さえ無事なら手足や頭部が融けたり砕けたりしても、雪があるうちは再生できる

気温が上がるにつれてどんどん縮んでいき、最後は核も融けて消える

そうして魂だけが雪ん子の国に帰っていくが、記憶は核に蓄積されるため、人間の世界での出来事は忘れてしまう

幼い甲児くんを助けてくれた雪ん子の正体はカイザーさんだけど、カイザーさんにその時の記憶はない

甲児くんは、昔助けてくれた雪ん子にお礼が言いたいとカイザーさんに相談したけど、そういう雪ん子の生態を教えてくれて、たぶんその雪ん子もその時のこと覚えてないと思う、と聞かされて、しばらく落胆した気持ちを引きずった

 

雪ん子カイザーさんとお友達になった甲児くん

寒空の下、コンビニで買ったアイスを半分こしたり、雪合戦したりと楽しい時間を過ごす

「甲児くんは寒くないんだ、子どもは風の子って言うもんね」とニコニコされて、子ども扱いに何となくムッとする

甲児くんが食べてる肉まんを「おいしそうなにおいがする…一口ちょうだい」とねだるカイザーさん、融けてしまわないか心配になって、ちゃんとふーふーして食べるよう言い聞かせると大人しく従ったけど、雪ん子カイザーさんのふーふーは半端ない冷気で、半分凍った肉まんをシャリシャリ食べるカイザーさんと、帰ってレンチンしよ…と残った分を持って帰る甲児くん

 

そして、お別れの季節がやってきた

せっかく仲良くなれたのに、カイザーさんは甲児くんのことを忘れてしまう

手のひらサイズにまでちっちゃくなっちゃったカイザーさんを見て、ボロボロ泣いてしまう甲児くん

カイザーさんは「大丈夫だよ、また来年会えるよ。絶対に会いに来るから」と慰めてくれるけど、でも次に会うカイザーさんは甲児くんのことを知らないカイザーさんで、それがどうしようもなく悲しくて辛いのだ

それに、甲児くんと遊んだ日々の記憶をなくしたカイザーさんが人間の世界にやってくるかどうかは、わからない

「もしかしたら、奇跡が起きてわたしは甲児くんのことを覚えていられるかもしれない。今までそんな話は聞いたことがないけど、だからってこれから先もないとは限らないでしょ。わたしはそう信じてる。だって甲児くんのこと、こんなに大好きなんだから」と励ましてくれたカイザーさんは、それから数日後、消えていなくなった

 

時間は流れ、初雪が観測された

甲児くんは舞い散る粉雪の中、カイザーさんの名前を呼んでみる

一回だけでは反応がなかったので、もう一回、さらにもう一回

…と、ふわふわ舞う雪の欠片が一か所に集まって、雪ん子カイザーさんが現れた

ドキドキしながら待った第一声は「…君は誰?どうしてわたしの名前を知ってるの?」だった…

そういう可能性の方が高いと思って、何度も想像していたシチュエーションだったけど、それでも希望は捨てられなかったし、実際にそうなってみるとダメージが大きくて泣いてしまう甲児くんを、カイザーさんは心配そうに見つめていた

 

そうして数ヶ月限定の友人関係を、毎年繰り返す甲児くんとカイザーさん

お別れを重ねる度に、感情を押し殺すことに慣れてきた甲児くんと、だんだんと別れを寂しがるようになるカイザーさん

ある年の最後の日のこと、カイザーさんがぽつりと「甲児くんのことを忘れちゃった次のわたしは、今のわたしと同じわたしって言えるのかなぁ」と言う

甲児くんは「当たり前だろ。カイザーが俺のこと忘れても、俺はカイザーのことずっとずっと忘れない。俺は去年のカイザーも、一昨年のカイザーも、その前のカイザーだって、ちゃんと覚えてる。お前はいつもこう言うんだ、わたしのことを知ってる君は誰、って。毎年言うんだぜ。それって、どのお前も同じお前だって証拠じゃねぇか?」と言う

じわじわ小さくなりながら「それほんと?ふふ…面白いね。ねえ甲児くん、忘れないでね。どのわたしも甲児くんのこと大好きだって思ってる気持ち、忘れないでね」と泣き笑いの表情で言って、消えた

甲児くんは最後まで笑顔で見送って、一人になってから泣いた

甲児くんだってカイザーさんのことが大好きだ、友達としてもそうだけど、一人の女の子として大好きなんだって、その日やっと気付いた

 

月日は流れて高校三年生になった甲児くん、今年もカイザーさんが帰ってくる季節がやってきた

今年こそは告白しよう、数か月しか一緒にいられないけど、だったら一緒にいられる時間を大事にしたい、と決意を固める甲児くん

何度目かの、初めましてから始まる二人

何度だって、仲良くなれる二人

何度別れても変わらない彼女に、ふと思い立って、どうして毎年人間の世界に遊びに来るのか尋ねてみると「…よくわからないんだけど、来なきゃいけない気がするの。心の奥の方でね、わたしの知らないわたしが言ってるんだよ。どうしても会いたい、大好きな人がいるって」と、まっすぐ甲児くんのこと見つめながら言うので、気付いた時には抱き締めていた

カイザーさんはちょっと融けちゃったけど、なんだかとっても嬉しそうだった

そうして想いを通わせ合った甲児くんとカイザーさんは、おちおちキスもできないけど、幸せな時間を過ごす

それでも一歩、また一歩とお別れの日が近付く足音が聞こえ出す頃、ポロポロ涙をこぼすカイザーさんに「消えたくない、いなくなりたくない、甲児くんとずっと一緒にいたい…」と縋りつかれて、どうして今までそうならなかったのか不思議なくらい、二人が一緒にいられる方法を探そうって気持ちになった

 

なお、この世界線のさやかさんは甲児くんが通う高校のオカ研部長で、Zは副部長である

みんなで協力して、甲児くんとカイザーさんの純愛が報われるように頑張るよ!

 

こうして、人間を辞めてもいいって決心した甲児くんと、雪ん子じゃなくなってもいいって決心したカイザーさんとの、小さな奇跡を求める一冬の冒険の幕が上がるのである!

なお、オチは全然考えてないのである!

まあその辺はな、ライブ感でな…

ちなみに核を冷凍庫に入れておけば保存できそうな気もするけど、そういう自然の摂理に反した無理やりな方法だと、雪ん子の魂に何らかの悪影響が出るってことで一つ

ジップロックに入れられて、冷凍食品の中に埋もれてるカイザーさんの図って、全然ロマンチックじゃないしさぁ!