甲児くんとカイザーさんの365日
7/4『甲児くんとお隣さん』
その日、甲児くんが仕事から帰ってくると、買い物帰りのお隣の奥さんと駐車場でバッタリ
奥さんは抱っこひもと片手で赤ちゃんを抱えつつ、もう片手で重そうなビニール袋を持っていたので、すぐそこまでだけど甲児くんが代わりに荷物を持つことに
「すみません、助かります」「いえいえ、いつも妻と仲良くしてくれてありがとうございます」から始まり、ちょっと世間話なんかも交えながらも、甲児くんは初めて見るお隣さんの赤ちゃんに目が釘付け
こんなにちっちゃいんだな~…でもちゃんと生きてるんだよなぁ…と、あんまりじっくり甲児くんが見つめるものだから、奥さんが「よろしければ、ちょっと触ってみますか?」と聞いてくれた
いきなりだったので、えっ、とか、いやその、とか要領を得ない返事をしてしまうけど、もちもちほっぺの吸引力には逆らえず、じゃあちょっとだけ…と、そーっと指先を伸ばし…
かけたところで、カイザーさんが「何かと使い道あるから」と持たせてくれていたウェットティッシュの存在を思い出し、ポケットから引っ張り出す
表面に「赤ちゃんにも使えます」と書いてあることを確認してから、いそいそと手を拭いて(そこまでしなくても大丈夫ですよ、と奥さんには笑われた)、改めてほっぺをつん、と一突きしてみた
あまりの柔らかさとすべすべさに、ほわぁ~…となる甲児くん
せっかく気持ち良さそうに寝てるのに起こしちゃわないか気になりつつも、二度、三度とつんつんしてると、口元をむにゅむにゅさせた赤ちゃんが、甲児くんの指を掴んだ!
ものすごくちっちゃな手なのに、ギューッと握ってくる赤ちゃんの力の強さに驚きつつ、これが生命力ってやつなんだ、と何かが腑に落ちた甲児くんだった
…という話を晩ごはんの時にカイザーさんにすると、ものすごく羨ましがられた
ほっぺつんつんはしたことあるけど、指を握ってもらったことはないらしい
ひとしきり話し終えてから、甲児くんは「俺にも父性ってやつが備わってるんだなぁ…」としみじみ呟き、それからお箸とお茶碗を置くと、カイザーさんを真正面から捉えて「そろそろ…俺らも子ども作ってもいいのかもな」と言った
すぐに「あ、でもいろいろ準備もあるし、今すぐってわけじゃねぇけど…!」と焦って言い訳しつつも前言撤回する様子がないことに、カイザーさんは嬉しくて嬉しくて、ちょっぴり泣いた
BLUE②
~7/3(共通ルート)
今のところは大きな事件もなく、のんびりとした学園ライフを満喫中…
別に刺激されて困るようなコンプレックスも持ち合わせちゃいないけど、それでもやっぱり友人に囲まれて過ごす学園生活って、唯一無二の青春み、あるよねぇ~
今でこそ休みの日には家でひたすらエロゲーばっかりやってるわけだけどさ、学生時代には友達の一人や二人ぐらいはいたさね
学校帰りに駅の自転車置き場で駄弁ったり、ファミレスでドリンクバーとポテトで延々粘ったり、そういう楽しかった思い出ってのはちゃんと持ってるよ
でも、何だろう…なぜかエロゲー主人公やヒロインが送っている学園生活ってのは、妙に羨ましく思える
漫画やアニメや小説の学園モノよりも、輝いて見えるのはなぜなんだ…??
感情移入の度合いなのか…??
ちょっとクソ真面目に考察してみる価値があるネタかもしれない
バスケ少年だった主人公は、膝の怪我が原因でバスケに懸けた青春を奪われてしまったわけだけど、無茶をした責任は自分にもあるから、と一応の納得はしているのね
でも、やっぱり好きなものを諦めるのは辛くて、未練がましく体力作りのジョギングを続けたりしている…
まだ半年前のことだってのに、それなりの決着を自分の中でつけているから、くさくさしたり理不尽な八つ当たりをしたりってのがないのは好印象
でも、その分、痛々しいものがある…
誰だって好きなことができなくなるのは辛いよ…わたしだって、ある日急に目が見えなくなったら、絶望のどん底に落ちると思う
生きてる意味を失くしてしまうかもしれない
主人公とヒロインたちとバスケの関りがどうなっていくのかはまだわからないけど、新たな「生きる意味」を見つけるのか、失くしたものを取り戻すのか…
何にせよ、どん底から這い上がる方法ってのを、今から学んでおきたいものだわ
こういう変てこりんなデザインの学生服を見るにつけて、ああ今、自分はエロゲーの中の学園に通っている…!という実感を得られるのはわたしだけだろうか??
こういうセンスが種ってる私服を見てても、同じように感じる…
それはそうと、いくら涼しい土地だからって、7月に入っても冬服で過ごしている娘もいるのはどうかと思うぜ
はよ半袖に着替えなさい
…そのアームガードみたいなやつも、屋内では脱ぎなさい