甲児くんとカイザーさんの365日
9/2『先輩パパ』
カイザーさんとの子作り計画が具体的になるにつれ、まだまだ育児のことを何にも知らないんだな…と実感することが増えてきた甲児くん
激務の合間を縫って、母体となるカイザーさんの管理と調整をしてくれている弓教授から、あれやこれやの説明を受けながら、ふと、そういえば弓教授ってさやかさんの父親なんだよな…こんな間近にも育児の経験者がいたのか、と思いつき、コーヒーブレイクのタイミングで「よかったら、さやかさんが赤ちゃんだった頃の話とか、聞かせてくれませんか?」と切り出してみた
弓教授は懐かしそうに「さやかが小さかった頃の話か…」と目を細めたけど、すぐに眉間に皺が寄り出して、軽い頭痛を堪えるように額を押さえて溜め息なんかつき始める…
あれ…もしかして、聞いちゃいけないことを聞いてしまったんだろうか…と焦る甲児くんに、「まあ…この話はいずれ、本人の承諾を得てから聞かせてあげよう…」と言われて、あーやっぱりなーさやかさんって昔からあんな感じだったんだなーわかる気がするなー、と赤べこのように首を縦に振るしかできない甲児くんだった
カイザーさん人外パロディ第四弾のサキュバス(風)カイザーさん妄想に区切りがついたので、書き殴っておくターン
元から人外だろう…という野暮なツッコミは間に合ってますわよ!
ちなみに、二種類ある
・おっとりカイザーさんの場合
カイザーさんは十一人姉弟の長女
といっても、実際に血が繋がっているのは次女のSKLちゃんだけで、その他の弟妹は戦争孤児を引き取ってきた
かくいうカイザーさんとSKLちゃんも、実は育ての親とは血が繋がっていない
そこそこ大きくなったカイザーさんとSKLちゃんには事実を知らされているけど、その他の弟妹はまだ幼いため、真実は伏せられている
そんなカイザーさんは高等教育学校を卒業したての、18歳
彼女の夢は、立派な魔女になって人間界で就職し、安定した収入を得て、両親の助けとなることだ
…これはSKLちゃんも知らない、カイザーさんだけが知る両親の秘密
ある日、夜中に両親の前に座らされたカイザーさんに知らされた、衝撃的な話…それは、両親には少なくない借金があるというもの
両親は善意が服を着て歩いているような善人たちで、そんな彼らはみなしごとなった子どもたちを放っておけず、育てているうちにこんな大家族となってしまい、とてもじゃないが二人分の稼ぎではやっていけなくなって、借金を重ねることになったのだという
カイザーさんは驚いたけど、そんな両親のおかげで自分もここまで大きくなれたのだから…と思い直し、借金返済に協力すると言う
とりあえず、魔女の資格を取るためにこの春から通うことに決まっていた専門学校への進学を取り消し、就職した方が…と考えたけど、それは両親に止められた
あなたの夢を諦めてほしくて、こんな話をしたわけじゃない、心配しなくても大丈夫、これからも今と同じ生活を続けていけるくらいの余裕はあるから…と諭されて、がむしゃらに低賃金で働くよりも、きちんと勉強して資格を取り、たくさんお金を稼げるようになった方がいいはずだ、と思い直して、専門学校へは進むことにした
…だけど、そんな話をした翌々日から、両親は失踪してしまった…
お父さんとお母さんが弟・妹たちを見捨てて逃げ出すわけがない、きっと何か理由があるんだ、と両親を探すカイザーさんの元に、次から次へと届く借金返済の督促状
改めて金額を数えてみると、とんでもない桁数になって目の前が真っ暗になった
どうしよう、どうしようと不安を募らせながらも、とにかく弟妹たちのお世話をしなきゃ…と、初等教育学校最年長のSKLちゃんと協力しながら家事をこなしていると、なんと怖いお兄さんたちが取り立てに押しかけてくる始末
あわあわしながら預金通帳やらタンス貯金やらをかき集めて、どうにか急場は凌げたものの、あっという間に無一文に…
当然、専門学校の学費を払えるあてもなく、進学は取り止めるしかなかった
度重なる戦争でどこもかしこも疲弊している魔界と比べて、人間界は物質的にも金銭的にも豊からしく、出稼ぎに行く魔族も後を絶たない
カイザーさんも、どうせ働くなら人間界の方がいいと思ったけど、あっちでまともな職に就こうと思ったら何らかの資格が必要となる
何にも資格を持っていないカイザーさんは、溜め息をつきながら魔族向けの求人雑誌をペラペラめくっていたその時、資格不要・経験不問の求人コーナーの特集が目に留まった
それは、いわゆる夜職
淫魔や夢魔たちが主体ではあるけれど、昨今では人間界におけるニーズの多様化により、猫又族や単眼族、獄卒族や竜族の女の子なんかにも人気の職場らしい
なになに…仕事内容はお酒を飲んでおしゃべりするだけ、未経験者大歓迎、時給は…えっ、こんなにもらえるの!?
世間知らずなカイザーさんは、ちょっとでもお給料が多くもらえる職場で働けば、それだけ弟妹たちに楽をさせてあげられる、とさっそく履歴書を持ってお店に突撃した
(※魔族は18歳からお酒も飲めるし、夜の店で働けるよ!)
そもそもの絶対数が少ない上に、男女問わず武人気質がデフォの魔神族はこの業界においては希少価値が高く、それだけで看板娘になれる、と最初はちやほやしてくれたけど、口下手でお酒にも弱い(一口飲んだだけでフラフラになる)カイザーさんに嬢の適性を見出せず、だったらキャバじゃなくて風俗の方で働くしかないよね…となる
風俗って何ですか…?となるカイザーさんに、男の人とエッチしてお金をもらうんだよ、と端的に教えてくれるお姉さま方
さすがのカイザーさんも、それだけの説明で仕事内容を理解し、そんなの無理です~!と断る
じゃ、うちでは雇えないね…と放り出され、返してもらった履歴書を握り締めて別のお店に行くも、結果はどこも同じだった
とぼとぼと肩を落として歩きながら、途方に暮れるカイザーさん
お酒に強くなるための特訓をしようにも、そのお酒を買うお金もなく、昔から家族以外の人と話すのは苦手だった
特に男の人は…体は人一倍大きいのに人一倍気の小さかったカイザーさんは、同い年の男の子たちからからかわれることが多かったため、男嫌いとまではいかなくとも、なんとなく男の人は怖い、と思い込むようになったのだ
数えて十軒目のお店でも、同じ理由から経営者のお姉さまに渋い顔をされてしまった
あんたには向いてないよ、悪いことは言わないから他の仕事を探しな、と優しく突き放されるも、頭の中をぐるぐる回る借金の総額を考えると、あまり悠長なことは言っていられない
どうしても雇ってもらえないか食い下がると、タバコの煙を長く吐き出したお姉さまが、だったら黙って股を開いて、ただ時間が過ぎるのを待つしかない、と言う
やっぱり…それしかないのかな…と俯くカイザーさん、諦めの境地でそういう場面を想像してみたら、なんだかすごく怖くて悲しくて、ポロポロ涙が出てしまう
お姉さまの前でしばらく泣いていると、ぽんぽん、と肩を叩かれて、あたしも女だからね、あんたの気持ちはわかるよ、と慰められた
それから部屋の隅にある金庫をごそごそやって、札束を三つ、袋に入れてくれる
お姉さまいわく、これは支度金だと、一週間待ってあげるから、初めてはあんたが選んだ相手とするといい、その代わり、その後はうちの店で風俗嬢として働いてもらう、それでいいなら受け取れ、嫌なら今すぐ帰れ、と
封筒の分厚さに、養父母、そして弟妹の顔がちらつく
わたしがしっかりしないと、わたしがみんなを守らないと、わたしがお父さんお母さんを助けないと…カイザーさんは封筒を受け取った
いったん帰宅し、遅くまで起きて待っててくれたSKLちゃんに、職業名はぼかして事情を伝える
無駄遣いしなければ一ヶ月は持つだけのお金を預け、残りはほとんど借金返済に充ててから、カイザーさんはなけなしの所持金と共に人間界へと舞い戻った
当てがあるわけではないけど、お姉さまが「処女は高く売れる」と言っていたので、裕福な人の多い人間界の方がいいかな…と思ったのだ
ところでカイザーさんは、人間界にはほとんど詳しくない
高等教育学校の修学旅行でちょろっと京都に来たきりで、その時は引率の先生やクラスメイトもいたけど、こうして一人で人間界の、それも都会をうろついた経験はない
あまりの人口密度に圧倒され、右を見ても左を見ても上を見ても下を見てもキラッキラな都会に翻弄され、人混みの中を押し合いへし合いされながら移動するだけでも、めっちゃ疲れた…
ようやく抜け出せたスクランブル交差点の雑踏から離れて、ちょっと何か飲んで落ち着こうとお財布を取り出…そうとして、違和感が
どれだけカバンの中を探しても、引っ繰り返して振ってみても、お財布が出てこない
カイザーさんは、人生初のスリに遭ってしまった…
どうしようどうしよう、お金がどうこうというよりも、あのお財布には出発前にSKLちゃんがくれたお守りが入っていたのに…!
誰かにスられたという認識はなく、そそっかしい自分がどこかに落としてしまったに違いない、と来た道を何度も戻っては確認するけど、いつまで経っても人の数が減らない往来を探し回るのは大変で、何の成果もないまま時間ばかりが過ぎていく…
道端に座り込んでぐすぐす泣いてると、学校帰りらしい、制服姿の男の子が声をかけてくれた
いつものカイザーさんなら萎縮してうまく話せなかっただろうけど、今はお守りのことで頭がいっぱいで、たどたどしいながらも現状を訴える
男の子は随分と親身になってくれて、探すのを手伝ってくれた
路面ばかりを気にしていたカイザーさんと違って、男の子は植え込みの中や障害物の影を見ていく
不思議に思っていると、たぶん落としたんじゃなくて盗まれたんだと思う、その場合は中身を抜き取られてガワは捨てられることが多い、と教えてくれた
その話の通りで、カイザーさんのお財布は小銭まで残らず盗られてしまっていたけど、お守りは無事に返ってきた
今度は嬉しさから泣いてしまうカイザーさんが落ち着くまで背中を撫でてくれた男の子は、その後ジュースも奢ってくれて、話し相手にもなってくれる
その流れで、お財布の中身が全財産だったことを知ると、それじゃあ魔界にも帰れないし、ホテルにも泊まれないし、ごはんだって食べられないじゃないか、と心配された
大丈夫です、魔神族は頑丈にできてるので一週間かそこら食べなくても死にはしません、と空元気を演じるも、朝から何も食べていないおなかがグゥ~っと鳴って、死にはしなくても腹は減るんだろ、と確認されると、つい頷いてしまう
立ち上がった男の子はカイザーさんにも立つよう促して、それから手を引いてどこかへと歩き出す
戸惑うカイザーさんに、腹が減っては何とやら、まずは腹ごしらえしようぜ、と笑いかけ、家へ連れ帰ってくれた
…この男の子が甲児くんで、急速に仲良くなっていった二人は、一週間という期限を前にしてカイザーさんが「わたしの処女を…もらってください!」とお願いすることによって急展開を迎えつつもハッピーエンドまっしぐら…なんだけども、まだそこまでは詰められてないので、一旦ここまで
スリの被害に遭ったと気付いたカイザーさんが駆け込んだ先の交番で、新人警官の甲児くんが勤務していたバージョンもある
どっちが面白いかなぁ~いっそどっちも並行して妄想するかなぁ~
そして予想していた以上に長くなってしまったので、記事を二つに分けるわ
明日はメスガキカイザーさんの場合について、書き殴りますわよ!
…え、こんなのサキュバスじゃない、って??
わたしも書きながら思ってた!
いずれ純粋なサキュバスカイザーさんも妄想してぇの~
ウブでネンネなサキュバスカイザーさんは、きっとかわいいぞ~