お嬢さま至上主義

とあるポンコツギャルゲーマーの日常です

過去の自分に負けないように 鋼の翼で駆けるんだ

甲児くんとカイザーさんの365日

11/2『ピアノ』

 

本日の雑談のテーマは、子どもにどんな習い事をさせたいか

仲良し夫婦は考え方も似たようなもので、早々に「その子がやりたいと思うことをさせるのが一番」という結論に達する

そこから話題はシフトして、自分たちならどんな習い事がしたいか、という新たなテーマが生まれた

甲児くんはコーヒーを飲みながら「俺だったら…そうだなぁ…やっぱりサッカーとか、野球とか、身体を動かすようなものがいいかな」と言い、わかるわかる、すごく似合うよ、とカイザーさんに同意の嵐を贈られた

一方、ココアの入ったマグカップを両手で抱えたカイザーさんは、なかなか思いつかないようで、しきりに首を捻っている

そんなカイザーさんを眺めながら、甲児くんは「カイザーには、ピアノとか似合いそうだよなぁ」と何気なく言ってみた

…ら、「え…えええええ!?ぴ、ピアノなんてそんな、恐れ多いよ~!」と、なぜか猛烈に否定された

そうか?ていうか、恐れ多いって何だ…?と、今度は甲児くんが首を傾げる番だったけど、カイザーさんからしてみれば、習い事としてのピアノのイメージは、お人形さんのようにかわいらしい女の子のイメージとセットなのだという

「わたしなんて、こんなだし…手だってこんなに大きいんだよ?全然似合わないよ…」と俯いたカイザーさんの手を、甲児くんはそっと握る

「なーに言ってんだよ、ピアノって手が大きい人の方が向いてるんだぜ」とにっこり笑い、それから「俺はお前の手、好きだぜ。大きくて、優しくてさ、撫でられてると安心できるんだよな」と肩に頭を凭せ掛けてきたので、カイザーさんはお望みどおりにいっぱいなでなでしながら(甲児くんはすごいなぁ…そうやって、わたしの可能性をどんどん広げてくれるんだもんなぁ…あ、そうか、だからわたしのことをお母さんにしてくれたんだ…)と、うまくまとまらなくてもどかしい思考を、どうにかこうにか伝えたくて四苦八苦した

 

 

 

先日、あまりに目がショボショボしたために書こうとして書けなかった、甲児くんとカイザーちゃんの学パロ小話・大学受験編

 

三年生への進級を間近に控えた、ある春休みの日のこと

卒業後の進路をどうしようか…そんな話題が二人の間に出た

甲児くんは甲児くんで将来の夢なんて真面目に考えたことはなかったし、趣味のバイクいじりで一人分の食い扶持が稼げればそれでいいかな~程度の漠然とした未来を描いてはいたけど、もしカイザーちゃんと結婚するとなったらそういうわけにもいかないよな、とは思うようになっていた

カイザーちゃんはカイザーちゃんで、物心ついた時には社長と副社長だった兄らに囲まれて育ったため、いつかは自分もお兄ちゃんたちの仕事の手伝いをするんだ、とぼんやりした将来設計を抱きながらも、小学校の文集に書いた将来の夢はお嫁さんだった

そんな二人に行きたい大学があるわけもなく、でも大卒って肩書きは何かと就職には有利だろうと思ったので、幸い、二人の実家は金銭的な余裕もあるし、とりあえず進学で、と決まった

とはいえ、二人の学力にはまあまあの開きがある…低い方の甲児くんに合わせて大学を探そうと、とりあえずパンフレットを取り寄せていると…

「おバカな甲児くんのレベルに賢いカイザーちゃんが引きずられるなんて、そんなの絶対にダメー!!!」と、次兄から雷を落とされた…

カイザーちゃんが何を言っても聞く耳を持ってくれず、とにかくダメ、を繰り返す次兄にほとほと困り果てて長兄に助けを求めると、眉尻を下げた長兄が「すまんけど、こればかりはワイもあいつに賛成や」と言う

それから訥々と、甲児くんが好きだから一緒の大学に行きたいというカイザーちゃんの気持ちはわかる、だけどそれだけの理由じゃ駄目だ、これから先いろんな選択をすることになるけど、そのたびに「好きだから」って理由で決めていては、いつかきっと後悔する日が来る、甲児くんも本気でカイザーちゃんと同じ大学に行きたいと思っているなら、今からでも勉強を頑張れば成績は伸ばせるはずだ、二人でもっとよく考えなさい、と諭されて、カイザーちゃんは反論できなかった…

後日、お兄ちゃんの言葉をそっくりそのまま伝えると、考えが甘かったと反省した甲児くんが、もう一度ちゃんと考え直そうというので、二人で進路指導の先生と何度も面談し、改めて希望の大学を選び直した

そこは地元の国公立大で、カイザーちゃんならB判定だけど、甲児くんはD判定のところ

厳しい戦いになるかもしれないけど、学歴を就職に活かしたい甲児くんの考えと、やりたいことが決まるまでは幅広く学びたいカイザーちゃんの考えを共に実現できるのはここしかない、と本気で頑張ることにした

 

というわけで、とにもかくにも甲児くんの成績を上げないことにはお話にならないので、猛勉強の日々が始まった!

 

勉強を教えてもらう相手として甲児くんの脳裏に浮かんだのは、まず最初に現役大学生の義兄である鉄也さんだったけど、何となく借りを作るのは避けたい…し、彼は彼で実験やらレポートやらで忙しそうで煩わせるのもなぁ…と思うと、後は自ずと頼れる相手が限られてくる…

と、そこで名乗りを上げたのはカイザーちゃんのお兄ちゃんズ

なんと向こうから甲児くんの家庭教師役を買って出てくれたではないか!

 

もちろん、その裏では長兄と次兄の仁義なき戦いが繰り広げられていた…

「どうしてボクがカイザーちゃんについた悪い虫のために時間を割かなきゃいけないわけ!?」と不満たらたらな次兄を、「まあそう言うなや…ワイらはもうええ年したおっさんなんやから、若い二人の未来のために一肌脱いでやったってええやないか」「ほれにな、ワイらのおかげで甲児くんが志望校に受かってみぃ、カイザーちゃんの株も鰻上りやで」と何だかんだ尊敬する兄に言われてしまえば、カイザーちゃんに感謝されるというご褒美をちらつかされたこともあり、最終的には折れるしかなかった…

 

でも、心の底から納得したわけではないので、次兄の家庭教師スタイルは超がつくほどのスパルタだった

「何でこんな簡単な問題もわからないかなぁ!?」「さっき教えたところで、どうしてもう躓いてるの!?」「ねぇ、その頭蓋骨の中にはプリンでも詰まってんの!?かち割って中身見ていい!?」と、人格否定こそされないものの、上品な罵詈雑言のオンパレードに、甲児くんはひたすら「すみません!」を連呼しながら、問題集と向き合っていた

ただし、言葉遣いこそアレだけど、教え方はめっちゃうまい

何がわからないのかすらわからない甲児くんの途中までの解を見て、どこで詰まっているのかをあっさり見抜き、嫌味たらたらながらも丁寧に解法を教えてくれるので、ちょっとずつ解けない問題の数が減っていく

家庭教師の時にはいつも竹刀を持ってくるので、さすがにあれでしばかれたことはないけど、そのうち出番が来るんだろうか…と、甲児くんは戦々恐々としていた

 

対する長兄は次兄ほどきつくないけど、それでも事前に馴れ合いはしないと決めた通り、それなりのプレッシャーを与えてくるので気は抜けない

教え方は多分に感覚派なので、「ひゅーっとやってひょい」理論がしばしば展開される

 

お兄ちゃんズの家庭教師は交代で平日は三日ほど、定時に帰ってきてから夜の十時ごろまで、土日は朝から晩までみっちりと勉強を見てくれる

場所は基本的にカイザーちゃんのお家

勉強を見てもらっている上に食事までお世話になって申し訳なく思う甲児くんだけど、一度それを口にしたら「そう思うんなら、絶対に現役で受かれ。浪人なんて許さない」と言われて、期待に応えるのが一番のお礼になると気を引き締めた

シローくんは甲児くんが留守がちなので寂しそうにしているけど、鉄也さんがしっかり面倒を見てくれているし、お兄ちゃんにとって大事な時期だということもわかっているので、健気に我慢している

家庭教師がない日は、甲児くんは昼間はカイザーちゃんと、夜は一人で主に復習

どうしてもわからないところが出てくると、背に腹は代えられん…と、鉄也さんに聞きに行く

義弟との微妙な距離感を気にしていた鉄也さんは、初めて甲児くんから「あの、よかったら…ちょっとここ教えてほしいんですけど…」と教科書を持参して部屋を訪ねられた時、甲児くんが俺を頼ってくれている…!と密かに感動した

(でも顔には出さず、ストイックを貫き通した)

鉄也さんの教え方は、長兄と次兄の真ん中くらいのわかりやすさ

 

平日は家庭教師の終了時刻が夜の十時を過ぎるので、高校生をこんな夜遅くに一人で帰すわけにはいかないと、家庭教師役をしてくれていたどちらかの兄が社用車である軽トラの荷台にバイクを積んで、甲児くんを家まで送ってくれる

次兄とは家に着くまで重苦しい無言の時間を過ごすはめになるけど、長兄とはそれなりに会話できる

ある晩、長兄からこんなことを言われた

「なぁ、甲児くん…無事に大学に受かって、そんで高校も卒業できたら、カイザーちゃんと籍入れてもええで」「へ?籍って…」「そしたら、二人は晴れて夫婦やなぁ。婚前交渉は許さへんけど、夫婦になったら、まあ、そういうこともするわなぁ」「…!」「この話、次兄にはまだ内緒にしといてくれや。ワイの方から説得するからな」「あ、ありがとうございます!」

カイザーちゃんと結婚できるということももちろんそうだけど、あれだけカイザーちゃんを溺愛していたお兄ちゃんの片割れに認められたという事実が甲児くんには何より嬉しくて、より奮起しようという気になった

次の日、さっそくカイザーちゃんにその話をすると、結婚、初夜、解禁、という単語が頭の中をぐるぐる駆け巡ったカイザーちゃんは瞬時に真っ赤になって爆発しそうになりながらも、甲児くんの手をギュッと握って「頑張ろうね!」と励ました

カイザーちゃんだってお年頃だもの、大好きな恋人とそういうことしたいもん!

 

 

 

そんなこんなで甲児くんもカイザーちゃんも、無事に志望校に現役で合格して、結婚もして、ハッピーでラブラブなキャンパスライフを送ることになるのでした

めでたし、めでたし