甲児くんとカイザーさんの365日
8/1『冷やし中華』
帰宅した甲児くんは、自宅の玄関に何やら小さい旗のようなものを見つけた
ポストからにょきっと生えてるそれは手作りのミニ幟で、見慣れたかわいい字で「冷やし中華始めました」と書かれていた
幟を回収した甲児くんがワクワクしながら家に入ると、キッチンにいたカイザーさんが「あ、気付いてくれたんだね~」と嬉しそうに笑った
「今年はまだ作ってなかったと思って」と食卓に並ぶのは、カイザーさんが麵から作った冷やし中華
ごまだれベースに半熟卵や叉焼風に味付けされた厚切りハム、トマトにキュウリと見た目も鮮やかな冷やし中華に舌鼓を打つ、贅沢な週末の夜だった
おかわりしてくれる甲児くんの気持ちがいい食べっぷりを嬉しそうに眺めながら、今度は担々麺風に挑戦してみようかな、エスニック風も面白いかな、と献立を考えるのが楽しいカイザーさんだった
総評
※ネタバレあり
意外とボリュームのあるユーザー作成分のシナリオを読んでいる途中だけど、これはもう完全におまけのおまけみたいなもんで、別に読まなくても支障はない類のシロモノだから、もう先に総評を済ませちゃおう
僕夏のあらすじを簡単に書こうとしたら、ダムに沈みゆく村で過ごす最後の夏に、少年と少女が恋に落ちて、傷ついたり傷つけたりしながら、苦い記憶と想いと共に大人になっていくストーリー…って感じになると思う
概要だけ聞くと、めちゃ面白そうじゃん
名作のにおいしかしないじゃん
実際、プレイ済みの人の評価もまあまあ高いのよね
でも、うん、わたしには刺さらんかったな
何だろこの感じ、ねこねこソフトのアレとかアレで味わった虚無感に近いものを抱えている
でも、刺さらなかったの一言で済ますのはあまりにも手抜きが過ぎるので、何が刺さらなかったのか、ちょっと考えてみたんだ
…まあ、これに関しては多分に感覚的なものだから、ボキャブラリーが貧困な人間としては言語化するのが非常に困難なんだけども…キャラクターの思想(特に恋愛面)に共感できなかったってのが、一番デカい要因な気がする
わたしは今、エロゲーとは全く無関係なところで純愛沼にドハマりしており、純愛しか勝たんと常々思っているような過激派の一員になっていて、その辺の事情も関与してるとかしてないとか…そういう気がしなくもない

たとえば、この有夏ちゃん
冬子さんに「恋してるってどういうこと?」と聞かれた時に、こんなにも情熱的な答えを返しているのに、蓋を開けてみれば貴理ちゃんのことを好きと言いながら同時進行形で主人公にも惚れており、最終的には英輝に汚されたいとか言い出す迷走に次ぐ迷走を見せつけてくれるのね
人間なんてそんなもんで、口ではいくらでもうまいことが言えるのに行動が伴っていないなんてざらで、男の人はいくつも愛を持っているように女の人も浮気性なのは生物としての本能からくるものだからしょうがなくて、簡単に解明できないから女心ってのは永遠のミステリーとして輝くわけで、そういう矛盾を孕みつつも刹那の一時を大事にしながら駆け抜けるからこそ青春は尊いんだという理屈はわからなくもないんだけど、わたしはただただ「ハァ…???」と思いながらプレイしていたんだ
わたしも「リアリティさえあれば決してリアルである必要はない」派の人間でね、とどのつまりフィクションには夢と希望を詰め込みたいのよね
クソ汚いのは現実だけで十分なんだよね
主人公と貴理ちゃんはいい歳こいてガキなだけだし、冬子さんは大人ぶってると思いきや本質的には成長できていない小娘だし、英輝だけはガキっぽさがいい方向に作用していたと思うけど悲しいかな脇役だしで、残念ながらメインの誰にも心から寄り添うことはできなかった
だから、同じような内容を視点を変えて語られる3タイプのストーリー構成のせいで、最後の方は食傷気味になってしまってたんだと思う
やればやるほど「もういいって…」と言いたくなるような中身の転落っぷりだったしね
知らぬが仏、とはよく言ったもんだ
楽しめたのは表ルートの百合、有夏ルートをプレイしていた時くらいかな…
貴理ルート(表)あたりから怪しくなった雲行きが、晴れることないまま追加ルートに突入し、裏ルートの最中には嵐になっていた…そんな感じ
でも、僕夏を心の底から楽しめるような純な気持ちを思い出してみたい、という願望はなくもない
喜びと切なさとで胸が締め付けられて、どうしようもなく苦しいのに、最高にハッピーな恋物語を生み出せるような…そんな純粋な人間に、わたしはなりたい…
一日ずつ後戻りが出来なくなっていく、もう取り返しのつかない青春の日々の儚さと大切さを、ダムに沈む故郷という形で表現したところは、素直に好き
主人公はよそ者なんだけどね
表ルートのプレイ中には、もっと何か深く感じるものがあったようには思うんだけど、どうでもよくなっちゃって忘れたからここには書けないわ
エロは各ルートに一つか二つ程度
CGに汁差分がないとか、非抜きゲーでも許されざる暴挙だと思う
ものによっちゃ男の喘ぎ声が入ってるので、注意されたし
システムは使い辛いけど、古いゲームだからしょうがないかもね
それよりも時々、雑なところが見え隠れするのが気になった
追加ルートはなぜか一部ボイスが抜けてるし、個人的に引っ掛かったのがエフェクト関連
たとえば電話をしてる時、こちら側の音声をクリアに、あちら側の音声をぼかすことで回線越しの会話というイメージを持たせる手法があるけど、表ルートではちゃんと効果が出てるのに、視点を反転させた裏ルートでも調整しないまま流しているから、こっちが電話の向こう側の声、あっちが電話のこちら側の声、となってしまっている箇所が何度も出てきた
これって、両方ともクリアなボイスデータが手元にあるはずでは??
ちょっとエフェクトをいじるだけで臨場感を出せるのに、サボってんなぁ…って感じちゃった
自分たちから故郷を奪うダム建設に反対する若者たちがテロまがいの破壊工作を行うでもなく、久々に地元に集った幼なじみたちが積年の恨みと痴情の縺れから殺傷沙汰に発展するでもない、ひたすらに「古い終わり」と「新しい始まり」へ向かって歩んでいく(地味な)シナリオなので、メインキャラの心情に共感できないとつまらないと感じるのではないかと思う
心理描写もそこまで丁寧とは感じなかったなぁ…「何でそうなるの??」はなくても「気持ちはわかるけど、でも…」となる場面が多かった
ちょっとでも反感を覚えたり、引っ掛かりを無視できないような相手でも、問答無用で自分の世界に引きずり込むような、そういうパワーを感じるテキストには出会えなかった
でもまあ、評判は悪くないし
大半の人はプレイしても損したとは感じない…んじゃないかなぁ??

おじいちゃんっ子には、最高の夏休みを追体験できるかもしれない
なんでおじいちゃんと再会するエピローグがないんだ!
お次はアリスソフトの「DARCROWS」をプレイ予定
調教ゲーだぁ、ワクワク!
…ところで、もう2025年も半分以上が経過したわけだけど、未だに今年のエロゲーオブザイヤー優勝候補が出てきてないの、ちょっとヤバい気がする
このままだと「灰被り姫の憂鬱」が一位になっちゃうよ!
いやまあ、悪くはなかったけどもね