ANGEL BULLET⑤
共通パート④
※ネタバレあり
なかなかに考えさせられる話だったなぁ…
最初から「依頼内容とサブタイトルがちぐはぐだな~」という印象を受けたもので、単なる牧場の護衛だけではないんだろう、とは思っていたけど…
このタイミングで言うのは滑稽の極みかもしれんことを承知の上で言わせてもらうと、AB内でも一、二を争う重いテーマのエピソードなんじゃないか、これ
人種差別に限らず、差別という感情は人間が集団行動を取る生き物である以上、完全に消し去ることはできないものなのかも…
自分と違うもの、異質なものを群れの中に受け入れた時、何が起こるかってのはやっぱりわからんものだからね
それはある種の防衛本能からくる攻撃性なのかもしれないし、そこを深掘りすれば家族なり仲間なり大事なものを守りたいという純粋な気持ちがだんだん過激化してしまったものなのかもしれない
だからって差別はなくならない、自然な成り行きなんだからしょうがない、で片付けてしまうのは乱暴な考え方なわけでさ
感情の赴くまま正直に生きることを全部が全部悪だと断定する気はないけど、人間ってのは理性の生き物なんでしょ
その理論でいくと、恐怖心や畏れを正義感やモラルで抑制することこそが美徳とされることではないのか
…と、それはあくまでマクロな視点で見た話であって、限りなく理想論でしかない話だとは思うよ
けど、もうちょいミクロな視点で考えた場合、そこまで悲観的になることでもないのかもしれないな、と
セーラちゃんは最初、リザードマンたちのことをゾンビや人狼と同列の怪物だと、自分たちとは全く異なる存在だと思っていたから、当たり前のように「殺す」という選択肢を持っていたわけじゃん
でも、彼らの子どもと接することによって、母性本能にも近い慈愛の心に目覚めたわけだ
それはセーラちゃんが幼い頃から聞かされていた「どんな生き物でも子どもは慈しまなければならない」という教えと共に育った善良な心だったり、もっと根本的な人としての善意の発露だったりと、理由はいろいろあるだろうけど、彼女はそれで自分の中の偏見を打ち消すことができたのよね
その証拠に、再会を約束して別れたリザードマンの子どもが、もし成長した姿で彼女の前に再び現れたとしても、その時は大きくなったねと頭を撫でてあげよう、と思えるようになったわけだ
だから、人が己の考えを改めるためのきっかけなんて、そんなもんなのかもしれない
どうしたって相容れない存在ってのは確かにあるんだろうけど、そうやって諦めてしまえば何も始まらないからなぁ
ほんの少し勇気を出して歩み寄ってみる、そうすればわかり合える相手というのも世の中にはたくさんいて、そういった人たちが少しずつでも増えていけば、きっと明日は今日よりいい日になるに違いない
そんな風に思わせてくれる、爽やかな終わり方でよかった
インディアンである風ちゃんのルートでは、もっと過酷な現実を突きつけられるのかもしれないけど、この西部の荒野にも希望というものは実在するんだと信じて、より良い在り方を模索していくことが大事なんだろう
と、たまには真面目な話もしてみるのであった