甲児くんとカイザーさんの365日
5/8『内職』
唐突に「内職がしたい」と言い出したカイザーさんに、甲児くんはちょっとの間、言葉を失った
カイザーは専業主婦だから、うちは一馬力…確かにこの先、子どもを作る…それも最低でも二人以上はほしいとなると、何かと入用にはなるだろうけど、でもそれは最初からわかりきっていたことではあるし、それでもきちんと話し合った上で今の家計があるわけで…
理由を訊ねても、何かはぐらかすようなカイザーさんの態度に、ぐるぐるとあれこれ考えてしまった甲児くんは、無意識のうちにぽつりと「…それじゃあ何だ?俺の稼ぎに不満があるってことか?」と聞いてしまって、つい責めるような言い方をしてしまったと気付いたけれど、言ってしまった言葉は引っ込められないし、他にどんな理由があるんだって思いもあって、撤回できなかった
カイザーさんは慌てて「そんなことないよ、そういうんじゃなくて、えっと、その…」と、またしてももごもごとはっきりしない言い方を続けるものだから、やっぱりそうなんじゃないか…と気持ちが落ち込んでいく
そりゃ高給取りってわけじゃないけど、それでも家族が何不自由なく暮らせるようにって頑張って働いてるのに、頼りないと思われていたのであれば、悲しいやら悔しいやらで、食事の手も止まってしまう甲児くんに、カイザーさんは「…ごめんなさい」と謝ってきた
謝られても余計に惨めになるだけだ、と自棄気味に返すと、そこでカイザーさんもようやく現状を呑み込めたらしく、珍しく大きな声で「ち、違うってば!」と否定する
カイザーさんが言うことには、いつも二人の生活と未来の子どもたちのために仕事を頑張ってくれている甲児くんのために、今年の結婚記念日には何かプレゼントを用意したかった、でもそのためのお金を甲児くんのお給料から出すのでは本末転倒だから、自分が働いて稼いだお金を充てたかった、内職なら家の仕事と並行してやれそうだから甲児くんにも負担をかけないで済むと思った…と、そういうことらしい
本当の理由はその時まで伏せておいて、びっくりさせたかったんだけど、そのせいで誤解させてしまったのなら申し訳ない…と小さくなるカイザーさんと、早とちりで傷つけてしまったことをひたすら詫びる甲児くん
お互いに相手のことを思いやってるのは間違いないのに、ちょっとしたボタンの掛け違いでこんな風にすれ違ってしまうなんて、自分たちはまだまだ以心伝心には程遠い…と、その夜はお布団の中でイチャイチャしながら反省会をした
…後日、届いた内職セットの中身を確認してから、箱の蓋を元通り閉めてしまうカイザーさんに「今からやるんじゃないのか?」と聞くと「甲児くんがお仕事行ってる間にしようと思って…甲児くんがお家にいてくれる間は、甲児くんのことだけ考えていたいもの」と照れくさそうに笑うカイザーさんを、甲児くんは目一杯かわいがった
最近、寝落ちとサボりがひどい!
思ったようにライフワークのエロゲー攻略も進まないし、創作活動にも支障が出まくってる!
あれかなぁ…暑すぎず寒すぎず、ちょうどいい気温と天気がお昼寝へと誘惑するのかしら…
でも、惰眠を貪るのって…びっくりするほど気持ちいいんだよなぁ…
睡眠はきっちりとった方が長生きできるって言うしねぇ
今日、無理して一時間長く起きているより、その一時間を睡眠に充てて、寿命を一日延ばした方が、最終的には得するよなぁ…
という屁理屈を、今日も今日とて捏ね回してみたわ
これって、いつ死ぬかわからないから一分一秒を大切に生きなきゃ、って考え方とは、めちゃくちゃ反するんだけどね
さてさて、エロゲーやらないと~